著者は、精神医学を専門とする研究者です。 本書では、結婚している女性がおちい
りがちな心の問題とその解決をテーマとしています。
著者は、うつ状態になったときに、「自分はダメな人間」「このうつ状態は病気なのか、
正常なのか」などと考えをめぐらすことには、意味がない。つらい状況から脱出するた
め、具体的に対処することのほうがずっと大切、と考えます。また、折にふれ、アンケ
ート調査や心理学の実験の説明が入るので、「うつ=気持ちがダメ」ではなく、
うつの
状態を科学的な視点でとらえることができます。
この本はいわゆる更年期の本ではないので、 月経や出産・育児に関する章もありま
す。更年期に関しては、「子離れできないうつ」の章で、触れられている程度です。
は
じめは、関係がないところは、ななめ読みで済ませようと思っていました。 しかし、読
みすすむにつれ、出産前後・月経前など更年期以外にもホルモン量が大きく変化する
ときには、気持ちが不安定になりやすく、 多くの人がうつ状態におちいるということを
改めて理解しました。 出産直後には約半数の人が軽度のうつ・マタニティーズブルー
を経験する、という記述には、正直びっくりしてしまいました。
うつは精神力だけでは語れない、身体と気持ちと環境と…さまざまな要素がからみあ
っておきること。 だから、むやみに自分を責めたてる必要はない。 「自分の性格を大
切にしながら、今自分が直面している問題を解決していくことのほうがずっと重要」
(p.25)という記述をみつけました。 精神論より具体策…うつであろうとなかろうと、大
切にしたい考え方だと思います。
アロマセラピー関係の記述なし。
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